地球儀を見ると、地球の三分の二は海に覆われていることが分かります。そして海にはいま知られているよりずっと多くの可能性があるのではないかと思いたくなります。海には陸をはるかに凌ぐ生命が存在し、それらの多くは深海で暮らしています。数世紀前まで深海に到達する技術を持っていなかったため、多くの生命を育む海域はいまだに十分に探索されず多くの謎を秘めたままでした。
深海の生態系に関する十分な知識が不足している状況下で、深海魚を食用に漁獲するようになり悲劇的な結果をもたらすことになりました。その端的なケースとなったのがオレンジラフィーの乱獲でした。

オレンジラフィーはヒウチダイ科の魚の一種で、西太平洋で初めて発見されました。ふだんは水深1500メートルほどの冷たい深海で生息しています。深海で暮らすオレンジラフィー漁は1970年代に入ってから始まり、それ以降は栄養価が高く味わい深いオレンジラフィーを食べることがオーストラリア、アメリカ、その他多くの国々で流行し、その勢いは1990年代に入るまで衰えることはありませんでした。ところが、この魚には他の魚たちと根本的に一つ異なる点があることが知られていなかったのです。オレンジラフィーという魚はとても長命なのです。その寿命はふつうの魚の少なくとも5倍であり、150年に達するとされていますが、もっと長生きすると見ている学者たちもいるくらいです。この魚はゆっくりと成熟し生まれて20年ほど経ってから子孫をつくりはじめます。通常の魚であれば生後20年経てば老年期に入る年頃です。この事実が何を意味するかといえば、一見すると成魚になっているようなオレンジラフィーも、実はまだまだ幼くて卵を産んだこともない状態だということです。
漁師たちはその事実を知らなかったため、未熟なオレンジラフィーを成熟したオレンジラフィーと見誤りどんどん捕獲してしまいました。まだ子孫をこしらえていない魚を大量に捕獲してしまえば、その種は当然のことながら絶滅の危機に直面することになりました。これらの事由によりオレンジラフィーは希少な魚となったのでした。

しかしオレンジラフィーは復活します。ニュージーランド沖でのオレンジラフィー漁業は持続可能な漁法によって獲られていることが認められMSC認証を取得しています。MSC認証はこの魚は環境にダメージを与えず捕獲されていると安心できる証明書なのです。今では計画的な漁業でオレンジラフィーという貴重な天然資源が守られています。よって本製品を使用しても海の生態系への影響の心配はありません。そして皮下5～10ミリに10～16％程度に存在するワックスが美容成分として非常に有用であることが解析されました。ゆっくりと成長し、過酷な深海で生き抜く長寿な魚は、皮下に有用なオイルを蓄えていました。
この食用として使われない部位から得られるマリンオイルを使用することは、天然の恵みを無駄なく活用することに繋がり、SDGS14「海の豊かさを守ろう」にもマッチした活動になります。